2024年9月21日(土)にアリゾナ学園があるMesa Community Collegeにて、カリフォルニア大学ロングビーチ校名誉教授の片岡裕子先生をお招きし、継承日本語に関するセミナーを行いました。このセミナーは保護者用と教師用の二部構成で行い、保護者用講演には60名以上、教師用講演には30名ほどが出席しました。
保護者用講演では一時間ほど片岡先生から「バイリンガルとは何か」を中心に先生ご自身のご経験や研究内容を踏まえて、どのように子ども達の日本語習得をサポートしていけば良いのかについてお話しいただき、30分間の質疑応答へと移りました。質疑応答の時間には絶えず質問が続きました。保護者の方々は終始熱心に頷きながら話に聞き入っていらっしゃいました。
教師用の講演では、バイリンガルとは何かという事に加え、子ども達が継承語として日本語を習う際の認知的な特徴、それに伴う効果的な教育のヒントをお話していただきました。
大変勉強になる一日になりました。
講演後アンケートの結果
講演後にアンケートを行いました。簡単にご紹介します。
【質問1】親子間でのコミュニケーションの言語は何ですか。

【質問2】お子さんが複数人いる場合兄弟間でのコミュニケーションは何ですか。

【質問3】お子さんは将来的に日本で生活する可能性があると思いますか。

この三つの質問の結果から、家庭での日本語使用には家庭によって差があることがわかります。将来についても「まだわからない」という家庭が65%を超えていました。どうなるかわからない将来に備え、日本語をマスターしてほしいという保護者の方々の気持ちが読み取れます。
【質問4】バイリンガル教育・継承日本語教育に関して、何を参考になさっていますか。

この結果から、身近な存在である補習校や他の保護者などを頼りにしている保護者の方が一番多いということがわかります。
【質問5】本日の講演は役に立ちましたか。

この理由として、「バイリンガル教育についての知識が深まった」「母語の重要性について認識できた」「目標が明確になった」「モチベーションが上がった」「共感できる内容が多かった」などの意見がありました。また、「仕事中心に時間や思考を組み立てていて、子供の教育について学んだり本を読む時間やモチベーションが弱いのですが、学園開催だと学習へのハードルがぐっと下がるので、父親たちに参加しやすい、しかも質の良い講演を開催していただけて本当にありがたかったです。」というご意見もいただきました。
また講演の中で特に印象に残った話として、「バイリンガルの中にもPartial bilingualやlimited bilingualなどがあることを学んだこと」、「完璧を目指さなくてもいいこと」、「自分の経験に頼らないこと」「母語の軸をしっかりとさせることが大事であること」などが挙がっていました。
最後に、「どのようなサポートがあれば役に立つと思いますか」という質問に対して、「国際結婚家庭の子どものための情報のサポート」「子どものモチベーション維持・やる気に対する理由付けに対するサポート」「保護者会などの横のつながりを増やす機会を整えること」「関連書籍やウェブサイトのまとめ」などがあれば、という回答がありました。
このセミナーは国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター(JFLA)より助成金を受け実現することができました。保護者・教師ともに有意義な学びの時間を過ごすことができました。JFLAの皆様、いつもご支援をありがとうございます。
継承日本語に関する情報はJFLAが運営しているkeishonihongo.orgをご覧ください。
文責:中西礼(AzATJ会計)
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